死にたい、仕事辞めたい。そんなときのための社会保険とは?

仕事が原因で精神的に衰弱している方、また過労で体を壊してしまいそうな方は、なによりも先に体を治すことに専念して欲しいと思います。当面の生活費は傷病手当や失業保険など、社会保険でまかないましょう。

仕事をやめようよ

チームサバイブの慎平です。松本慎平。

慎平
きわめて個人的な話スタートで恐縮ですが、新卒で入った会社が結構忙しいところでした。

朝の10時に出社し、夜の10時以降に帰ることがほとんどでした。終電近くに帰ることも珍しくありませんでしたが、会社に泊まっている社員の方もいたため、社内ではずいぶん早く帰っていた方だと思います。

その会社ではたくさんのことを勉強させていただき、たくさんの経験を積ませていただきました。なにより仕事中にたくさん笑ったことを覚えています。

それでも当時の私のことを友人に聞くと<疲れて朦朧としてた>ようなエピソードも聞かされるので、その時はそれなりに疲弊していたのだと思います。

中島なかじ
当時、慎平が同棲していた彼女から「夜中に帰ってきては倒れるようにソファで寝落ちしてて辛そう」って話を聞いてたよ。
慎平
あはは……。心配をかけてたんだなあ……。

新卒で入社した会社でしたが、体調面の危惧もあったので一年目を終えた頃から転職活動を始め、縁あって今の会社に転職することができました。あの当時をポジティブに思い出せるのは、今の環境に救われていることも大きな要因でしょう。

慎平
一つのところにとどまっていると、自分の置かれている状況を客観視することがどんどん難しくなるんですよね。
せいきゅん
それと関係のある話だと思うんだけど、ここ最近、労働問題が取り上げられる機会が急増したよね。

2016年秋、電通の新卒社員が投身自殺を図った事件を発端に、過労死に関する事件が次々と取り沙汰されています。

といっても今回取り上げられた過労による自殺は氷山の一角です。労働基準監督署から認定を受けているだけでも毎年200人弱の方が過労死で亡くなっているのです。

この認定を受けるためにはご遺族の方が申請をする必要があるため、実際は何倍、何十倍の方が過労で亡くなられていると想像できます。

(勤務問題で自殺した方は年間2000人にも上るというデータもあります。)
参考:内閣府自殺対策推進室

過労による労災請求には2種類あります。「脳・心臓疾患」での請求と「精神障害」による請求です。それぞれ認定死者数が(年間)100人程度います。

「脳・心臓疾患」とは肉体的な過労死であり、「精神障害」は精神的に追い込まれて「自殺」した方です。

厚生労働省のデータでも、「脳・心臓疾患」で亡くなられた方は「死亡」、「精神障害」で亡くなられた方は「自殺」と、明確に区別されています。
参考:厚生労働省「平成27年度 過労死等の労災補償状況

慎平
そしてこのようなニュースには「死ぬ前に仕事を辞めればいいのに」という意見が必ず付いて回ります。

突然倒れてしまう方はもちろんのこと、精神的に追い詰められている方は多くの場合、正常な判断ができない状態になっていると聞き及んでいます。

つまり、そもそも辞めるという選択肢がないのです。

では、どうすれば良いのでしょうか? どこに危険信号の線を引けば良いのでしょうか?

「脳・心臓疾患」で亡くなられてしまう方は、純粋に労働時間が多すぎて肉体的・物理的な負担がかかり、体を壊してしまう方です。

この方々は月間残業80時間を最終ラインとして、それを超えた場合は即座に仕事を休むべきです。

(残業80時間は「過労死ライン」と呼ばれ、健康障害リスクが高まると厚生労働省から通達されている残業時間になります。)

難しいのは「精神障害」で亡くなられてしまう方、つまり自殺をしてしまう方です。

このケースでは残業時間が80時間未満にも関わらず、命を投げ出してしまうことも珍しくありません。残業時間で危険信号を点(とも)すことができないのです。

精神障害の場合は具体的な症状から判断するしかありません。

例えば「クライアントだけでなく、同僚との会話も緊張して上手くできない」「毎朝憂うつでベッドから出られず、出勤中も何度となく引き返そうとする」「とにかく体中がだるく、仕事に集中できない」「同僚から悪く言われているような気がして、精神的にも参ってしまう」などです。

いずれも通常通りの業務など到底できるような状態ではないでしょう。

これはいわゆるうつ病の症状です。自殺者の原因の40%以上がうつ病患者であるというデータもある通り、うつ病は死に関わる病なのです。
参考:http://utsu.ne.jp/keep/suicide.html

実は15歳〜39歳までの最も多い死亡理由は、自殺なんです。こういった症状が認められる場合は、大げさでもなんでもなく命の危険にさらされていると考える必要があります。

正常な判断ができなくなると、正しい選択肢を削っていく傾向にあるそうです。仕事を辞めて療養する、体調が良くなるまで休職する、転職活動をしてみる、など。本来無数にある選択肢が、いつの間にか仕事をするという一本道になっているのです。

例えばこちらのようなケースです。

日本では精神的な病気、うつ病に関する理解が深いとはいえません。特に高齢層のなかには、心の病気は所詮頑張りが足りないんだ!という、精神論で追い詰める風潮すらあります。厄介なのは、これを本人さえ信じてしまっている例も少なくないということ。

慎平
そんなことは絶対にありません。頑張りが足りないわけじゃないんです!

うつ病は病気です。医師からの診断書もでます。風邪を引くのと一緒です。骨折するのと同じです。治療が必要なんです。

ただ、仕事を辞めるにせよ、休職するにせよ、一つネックになるのが金銭的な問題だと思います。

今回の記事ではちゃんと働いていたのであればお金ってなんとかなるよということをお伝えし、仕事をやめたいと思っている人、あるいは死にたいと思っている人に選択肢を提示できればと思ってキーボードを叩いています。

キーワードは「失業保険」と「傷病手当」です。

「うつ病」という病気

そもそも、うつ病とはどういった病気なのでしょうか。

自分には関係ない! と思いがちですが、患者数は2015年の時点で110万人以上で、15人に1人は人生で一度はうつ病にかかるとも言われています。また、3/4がきちんと受診していないことから、実際の患者数はもっと多いでしょう。
参照:http://www.cocoro-h.jp/untreated/overview/population.html

とりわけ仕事でのうつは、先程の具体例以外にも「イライラしやすい」「忘れ物が多い」といった一見すると軽度なものから、「仕事のミスが増える」「人間関係のトラブルが多くなる」など、業務に差し障りが生じるようなこともあります。

慎平
症状がひとそれぞれなことも、この病気の厄介な点だといえるでしょう。

自立支援医療制度について

うつ病は現在継続的に治療が必要な場合、「自立支援医療制度」という医療制度の対象となります。

これにより医療費の負担額が通常の3割から1割まで軽減します。また1か月に払う医療費の上限額も設定され、必要以上に資産に打撃を与えることを防ぎます。

上限額など詳しくは厚生労働省の概要ページをご覧ください。

参照:厚生労働省/自立支援医療制度の概要
お問合わせの窓口はこちらから:03-5253-1111(代表)

失業保険をもらう

しかしどのような形であれ、どうしようもなく追い詰められた状況では休職や退職の選択肢も入ってきます。うつ病の状態では転職活動もうまくいかないでしょうし、なにより、取り返しのつかないほど体を壊してしまうことこそ最も避けるべきだからです。

退職後の生活費については大きな懸念点だと思いますが、場合によっては失業保険という制度をうまく利用することで生活していくことが可能です。

失業保険の種類

失業保険とは、労働者が失業した際に給付を行うことで再就職を援助する雇用保険の制度の1つです。

失業保険の手当には2種類あります。自分の都合で退社する場合と、会社の都合で退社する場合です。両者は支払われる金額に大きな差があります。

当然、自分に非がない会社都合であるほうが長い期間給付を受けることができます。

自己都合退社の給付期間

区分\被保険者期間10年未満10年以上
20年未満
20年以上
全年齢90日120日150日

会社都合退社の給付期間

区分\被保険者期間1年未満1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
30歳未満90日90日120日180日
30歳以上35歳未満180日210日240日
35歳以上45歳未満240日270日
45歳以上60歳未満180日240日270日330日
60歳以上65歳未満150日180日210日240日

さらに大きな違いとして、申し込みから支給までの期間が異なります。会社都合退社では申し込みから7日後に支給が開始されますが、自己都合退社は支給までに3か月の待機期間が空いてしまうのです。蓄えのない方やご家族を支えている方にとっては、3か月の空白は死活問題となる可能性もあります。

給付される期間や給付が開始されるまでの日数など、いずれも会社都合退社の方が好条件なのです。

慎平
では、うつ病での退社はどのような扱いになるのでしょうか。

失業保険の受給条件(会社都合)

自分から退職を申し出た場合は基本的に自己都合退社となり、給付期間の短縮や待機期間の発生など生じます。

慎平
とはいってもうつ病などの理由であるならば、それは自分だけのせいだとは言い難いですよね。

そこで「特定受給資格者」「特定理由離職者」という制度を利用し、失業保険をスムーズに貰えるようにすることをお勧めします。

特定受給資格者

「特定受給資格者」は、病気やケガなど一定の理由で退職した方に適応される制度で、待機期間なしで給付を開始することができます。

しかし失業保険とはあくまでも働く意志がある方の再就職を支援するための制度です。うつ病が完治していない状況では働く意志があるという扱いにならず、給付を開始することができません。

後述しますが、うつ病が完治してから再度転職活動を始める際に期間に利用することを前提としましょう。

特定理由離職者

賃金が払われなかったり残業時間が多すぎたりする場合は「特定理由離職者」という扱いになり、こちらについても3か月の待機期間がなしで受給が可能です。

受給要件はいくつかあります。例えば残業時間であれば、

離職の直前6か月間のうちに、以下を超える時間外労働が行われため離職した方が対象者になります。
1. いずれか連続する3か月で45時間
2. いずれか1か月で100時間
3. いずれか連続する2か月以上の期間で平均して1か月80時間
参照:ハローワークインターネットサービス

長時間の残業に起因するうつ病であれば、これらの受給要件を満たしている事が多いと思われます。この場合も会社都合のように待機期間なく失業保険の手当を受け取ることが可能です。

※受給要項についての詳細は、ハローワークまで直接お問い合わせ下さい。最寄りのハローワーク検索はこちらから。

傷病手当をもらう

うつ病が理由で出社できないのであれば、休職であれ退職であれ「傷病手当金」を受け取ることができます。

これは病気や怪我を理由に、最大1年半の手当を受けることができる健康保険の一種です。退職をする場合は、退職をする前に傷病手当の申請を行うことで退職後も給付を受けることが可能です。

うつ病はれっきとした病気の一種なので、医師の診断があれば必ず申請したい制度のひとつでしょう。

最も長い期間受給を受け取るための方法

退職後の傷病手当金給付が行われる1年半(以内)は療養に専念します。

うつ状態からの症状が安定し(そうでない場合は身体を休めて人生について考え直す期間を取り)、再就職を始める際は「特定受給資格者」や「特定理由離職者」を理由に、会社都合退社扱いで失業保険手当を受け取りましょう。

失業保険手当と傷病手当※ただし失業保険は退職後1年までが受給期間なので、退職後時間を空けて受給を開始する予定の場合は延長申請を行う必要があります。

傷病手当と失業保険手当の合わせ技により、次の仕事に就くまである程度の猶予を作り出すことができるのです。

まとめ 〜その他の選択肢を知ること〜

とにかく冒頭で紹介したように自分の置かれている状況を疑い、見直すこと。精神的な衰弱が進行していくと、この「疑う」ということが難しくなってきます。

また、心が弱っている状態で最もの怖いのは、衝動的に自己破壊衝動に及んでしまうことです。正常な判断が困難であり、死にたいと思っていなくても、気がついたら線路に飛び込んでいるという話も耳にします。

今回の記事で一番伝えたかったことは多くの方が「仕事なんていつでも辞められるのだ」ということです。それを知っているだけで、精神的な負担はいくばくか軽くなると信じています。

労働による精神的な苦痛がある方は、自分からSOSを出せないことが多いです。

慎平
もし、あなたの大切な人がそういった状態であるかもしれないのであれば、一度話を聞いてあげることもめちゃくちゃ良いことだと思います。親しければ親しいほど真面目な話をするのは照れくさいですが、失ってからでは全てが遅いのです。

私もいくぶんか大変な職場を経て、今の会社で働かせていただいています。前職には感謝でいっぱいですが、反面、あのまま続けていたら体を壊していたかもしれないなという気持ちもあります。

いちばん大切なのは、あなたの身体です。いま一度、仕事を続けることについて考えてみて下さい。

Can you survive?


 

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ABOUTこの記事を書いた人

松本 慎平

編集者/新卒でITコンサル会社に就職。ある朝「もうすぐ30歳だけど、ちゃんと将来設計あるの?」と自問自答を始めて嘔吐・下痢を繰り返す。その後、経済的自立を求め、実学を会得する記事を書くためサバイブにジョイン(ジョインって使いたがる輩にろくな奴はいない)。尊敬する作家は金城一紀。ファイナンシャルプランナーで弓道初段です。

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