JPYCは、ブロックチェーン技術を活用した、日本円に連動するプリペイド型のデジタルコイン。仮想通貨じゃないけど、二次流通市場で同じERC-20の仮想通貨と交換したり、1JPYC=1円で決済も可能。1万JPYC買ってVプリカ → PayPay&Amazonギフト券で使うまでの流れを画像つきで紹介
JPYCは日本円のステーブルコインだけど、仮想通貨ではない
JPYC(JPYCoin/JPYコイン)は、イーサリアムの規格のブロックチェーン技術「ERC-20」を活用した、日本円に連動するステーブルコインです。総発行額は、10億円を突破しています。
JPYCの現在の価格(リアルタイム)
Ethereum、Polygon、Shiden Network、Gnosis、Avalanche、Astar Networkという6種類のブロックチェーン(ネットワーク)に対応しています。
JPYC株式会社が発行し、1JPYC=1円で決済に利用できます。
また、MetaMaskなどのウォレットやUniswapなどの二次流通市場で、日本円建てのコインとして、同じ規格「ERC-20」のテザー【USDT】などと交換できます。
※日本円に換金するには、二次流通市場でJPYCをほかの仮想通貨に交換 → その仮想通貨を日本円に換金しなければならない。非公式の「JPYC買取所」というサービスも存在する(買取のレートは変動制)
JPYCの専用サイトから、日本円かビットコイン【BTC】、イーサ【ETH】で、1万円から購入可能です(単位は、1万円/10万円/100万円)。
※日本円に直接払い戻しはできない
ただし、JPYCは資金決済法にもとづいて発行される「(自家型)前払式支払手段 ※1」のデジタルコインなので、ブロックチェーンを使っているけど、法的には仮想通貨ではありません。
※資金決済法では「通貨建資産」にあたる
2021年1月27日に販売を開始し、11月には発行額が3億JPYCを突破しました。
まず(調べる中で私がひっかかった)「ステーブルコインってなんなん?」という話をしますね。
ステーブルコインとは?
ステーブル(stable)の日本語訳は「安定」。
ステーブルコインは、価格変動が激しい仮想通貨の実用性を高めるため、価格が安定するよう、なんらかの資本を担保につくられたものを指します。
国際送金や決済に利用されるほか、DeFi(分散型金融)にも利用されています。
その点、ステーブルコインは価格を安定させているので「より利便性が高い、法定通貨の代替品になり得るのでは」と期待されています。
ステーブルコインの種類
法定通貨を担保にしたもの
ステーブルコインの担保として、発行会社や運営主体が同価値の法定通貨(円やドル)を保有する。
※ただし、発行会社や運営主体が本当に資産を保有しているか把握できない
仮想通貨に連動するようにしたもの
ビットコインやイーサなどの仮想通貨を担保にしている。仮想通貨の価格は不安定なので、価格変動を考慮して発行される。法定通貨を担保にしたものより、非中央集権的。
ほかにも、金や銀、原油などの商品(コモディテイ)に連動したものや、アルゴリズムを利用して価格を安定させる無担保型のステーブルコインなどがあります。
ステーブルコインのデメリット
・規制を受ける可能性がある
→ 国ごとの考え方や方針の違いがある。今後どうなるかわからない
・発行会社や運営主体が倒産したり、不正利用したりする可能性がある
→ そのステーブルコインの価値がなくなるかも
・米ドルに連動するステーブルコインがほとんどで、日本で使えない
ほかにも、仮想通貨は取引所に口座を開設しなきゃ買えないし、さまざまなタイミングで手数料を払う必要がある。
JPYCのメリット
誰でもカンタンに本人確認なしで購入できる
仮想通貨取引所の口座や本人確認が不要。子どもでも、1万円あれば買える(受け取りには、MetaMaskなど個人のウォレットが必要)
未成年だと仮想通貨の口座を開設できないけど、JPYCなら10代でも買える。
早くから仮想通貨に触れて実際に利用できるって、10代のCTOがいるJPYC社ならではだな~。
仮想通貨を交換して、決済に使える
ETHやUSDTなど「ERC-20」規格の仮想通貨をJPYCに交換して、JPYCをVプリカギフトに交換すれば、国内外のネット上のVisaの加盟店で決済に使えて便利。
ビットコイン払いを実施してる店舗もあるけど、少ないし手数料が取られる。
でも、JPYCを介せば仮想通貨を決済に使える。ここらへんをメリットに感じてJPYCを使う人が多そう。
専用サイトを経由してECサイトで買い物できる
楽天市場やYahoo! ショッピングの商品を購入できる(一部購入できない商品もある)。
仮想通貨でモノを買うときの(高い)仲介手数料がかからず、仮想通貨に比べて「円 → 仮想通貨 → 円」への流れがスムーズ。
1JPYC=1円で会計処理できる
仮想通貨に該当しない(電子マネーのような通貨建資産にあたる)ので、実際に使用した金額分を1JPYC=1円で会計処理できる。
資金決済法に従って供託を行っている
万が一倒産しても、発行額の100%以上の供託金を法務省に供託している。
また、利用者のJPYC保有残高はイーサリアムのブロックチェーンに記録されており、未使用分があれば破産手続きの際、利用者に弁済されるよう設計されている。
【参考記事】ブロックチェーン技術を使った日本円連動コインJPYCが先導する、新しい経済圏|Money FOCUS
【2021年12月13日 追記】JPYC社代表の岡部さんが、JPYCを利用するメリットを動画で語っていました。その内容を一部追記します。
JPYCの公式サービス(JPYC Apps|JPYC販売所)からJPYCを買いたい人は、8割以上「Polygonで、なにかしたい人」だそうです。
銀行振込すれば、Polygon上のJPYCが手に入るので、そこからPolygonの仮想通貨「MATIC」でNFTを購入したりする人が多いんだとか。
OpenSeaのPolygonとか赤いETHって何やねん⁉️って思いますよね😂最近NFT始めた方が増えてるようなのでETHの種類と取引の関係、そして手数料が少ない購入ルートを図にしてみました👏
参考になったらRT・ブクマしてね✨
👇交換所のリンクはレス参照#NFT初心者 #polygon #JPYC #opensea pic.twitter.com/vFzN6mkos5— 茶太郎🫖/chatarou.eth (@chatarou_k) February 27, 2022
また、JPYCをDEX(分散型取引所)で安く(5%引きとかで)買える(ほかの仮想通貨と交換できる)ことがあり、安く買ったJPYCをVプリカに交換したら、その分おトク~といったメリットもあるそうです。
※ただし、二次流通の利用はあくまでも自己責任で
【参考動画】「ステーブルコインとJPYC」with 岡部典孝| Coinbase Japanコミュニティイベント
ほかにも、DeFiで得た報酬をJPYCに交換 → Vプリカに交換して使う人もいるとか(DeFi怖いけど来年はやりたい)。
JPYCの買い方|1万JPYC買ってみた
1.ウォレットを用意
ERC-20に対応する個人ウォレットを用意する。MetaMaskでOK。
インストール方法はこちら↓↓
※コインチェックやビットフライヤーなど、取引所のウォレットは利用できないので注意!
2.JPYC購入ページのフォームに必要事項を入力
専用サイトにアクセスし
・振込名義人をカタカナで入力
・購入金額を入力
・メールアドレス入力
・JPYCを受け取るネットワークを選択
→ Polygon、Avalanche-C、ETH、Gnosis、Shiden、Astar Networkネットワークから選ぶ
※Ethereumメインネットで、JPYCの送金を行うとガス代がかかる
→ 購入時はJPYCが負担。JPYC Appsのサービスを使う際、ユーザーがJPYC社に送金するときのガス代はユーザー負担
※2022年4月18日現在、Astar NetworkネットワークでJPYCを受け取ると、先着1万名に送金時の手数料などに使える仮想通貨1ASTRがもらえるキャンペーン中
・MetaMaskで「イーサリアムメインネット」の送金先(入金)アドレスをコピー
・送金先アドレスをフォームにペースト
3.銀行振込
BTCやETH(仮想通貨)でも購入可能ですが、今回は銀行振込で購入します。
メールに書かれた銀行口座に振込 → 即入金確認のメールが届く。
※公式サイトには「通常、着金確認に1営業日かかる」って書かれてたけど、即届いた
※私は三菱UFJ銀行から振り込んだので、振込手数料として209円かかった
※ロックから10分くらいして、UFJのネットバンキングのコールセンターから電話がかかってきた。なぜロックされたのかは、要因が多すぎてわからないらしい(不正利用されたときの挙動に似てるとか)。振込の目的を伝えて答えて本人確認すると、1時間後にロックが解除された
4.ウォレットにJPYCが入金される
※公式サイトには「(入金は)通常、振込の翌営業日までに」と書かれていた
※メールに、送金のトランザクションを確認できるURLが添付されていた(Etherscan)
確認には、MetaMask上でちょっとした操作が必要です。
・MetaMaskを開き「トークンを追加」
・「カスタムトークン」を選択
・トークンコントラクトアドレスに「0x2370f9d504c7a6e775bf6e14b3f12846b594cd53」を入力
→ シンボルや10進数は勝手に入力される
JPYCの使い道
「自家型」前払式支払手段であるJPYCは、専用サイトを通して下記のような使い方ができます。
1.QUOカードPayに交換(休止中)
アプリは必要なし。メールで届くURLをタップするとスマホに決済用のコードが表示され、リアル店舗で決済できる。
2.JPYCの専用サイトから、ECサイトの商品を購入できる(終了)
「楽天市場」または「Yahoo! ショッピング」が利用可能。
3.川根本町宿泊券の宿泊券購入(休止中。終わったかも)
静岡県の中部、標高660mの森の中にある「ウッドハウスおろくぼ」の1泊2食付宿泊券(1名分)と交換可能。
【オススメ】4.Vプリカギフトに交換
Vプリカギフトとは、Visaカードが使えるショッピングサイトやPayPay、楽天Payなどのコード決済で利用できるVisaのプリペイドカード。
※5000円以上使う場合、Vプリカのアカウントが必要(アカウントは18歳以上でないと取得できない)
・普通に買うときに比べて、手数料がかからない
→ コンビニで5000円分のVプリカギフトを買うと、290円の手数料がかかる
・プリペイドカードなので、購入履歴が残らない
→ 家族にバレたくない買い物とかね……
・クレジットカードを持てない人もVisaのオンライン決済を利用できる
・ギフト券や図書券などに比べて、手間いらずですぐに送れる
例えば、クラウドファンディングの専用サイトで資金を募ると、サイトに20%とか手数料が取られちゃうけど、Vプリカギフトで支援したら100%(全額)が応援したい人の手に渡る。
こういう(中間搾取や手数料がない)考え方は、すごく仮想通貨っぽい!
TwitterでJPYC → Vプリカの決済ルートを詳しく図式化してらっしゃる方がいました。超わかりやすい!
JPYC→Vプリカの新しい決済ルートを開拓しました。対象者限定ですが日常のあらゆる決済が間接的にJPYCでできるようになりました。Android、iPhoneユーザ向けに決済ルートマップを作りましたので公開いたします。今回の決済ルートは通常の方法ではできないため、詳細は後日HiÐΞで記事にします。 https://t.co/SGODMXmQTK pic.twitter.com/pDE1wIc3wR
— スイーチ (@ATOKADOBE) November 20, 2021
5.giftee Boxと交換(3月7日追加)
「giftee Box」は、コンビニやカフェチェーンのチケット、Amazonギフト券や楽天ポイントなど、100ブランド以上のラインナップから好きな商品を選べるギフトサービス。交換は1口につき5000円・口数制限なし。
専用サイトで使う以外にも、イーサリアム上のDeFiに使ったり、JPYCに対応するマーケットプレイスでNFTを購入したりすることも可能です。
JPYCをVプリカギフトに交換して、PayPayで使ってみた
1.専用サイトで「ギフト券」→「Vプリカギフト」を選択
・フォームに必要事項を入力
→ カタカナで氏名を入力
→ 交換希望券種を選択(1万円/5万円/10万円)
→ 交換希望枚数を入力
→ 受け取り用メールアドレス入力
→ 送信元ネットワーク選択「イーサリアムネットワーク」
2.MetaMaskからJPYCを送金
すぐに「Vプリカギフト受付完了メール」が届くので、Metamaskを開き「送金」をタップ → メールに書かれている「JPYC送信先ウォレットアドレス」をペースト。
アセット「JPYC」、金額を指定し、ガス代を確認しつつ送金。
※イーサリアムネットワークではガス代が発生する
Polygonにしときゃ~よかったな。
Polygon上のJPYCの買い方はこちら(JPYC公式noteの解説)
3.Vプリカギフトを受け取って、カード発行
送金から約2時間後に着金完了メールが届き、明朝(11時間後)には、メールでVプリカギフトコードが届きました。
※公式サイトには「(送付は)5営業日以内」と書かれていた
メールのURLをタップしVプリカギフトのサイトに移動 → メールに書かれた「15桁の認証番号」と「4桁」を入力、画像認証すると、Vプリカギフトカードが発行されます。
4.VプリカをPayPayに登録&あまった端数はAmazonギフト券にチャージ
PayPayアプリを開いて右下の「…」をタップ → 「機能一覧」→「管理」の欄にある「カード追加」→ カードをスキャンする画面が表示されるので下にある「カード番号を直接入力する」をタップ → Vプリカの画面から番号をコピペして入力すると、PayPayにVプリカギフトを連携できる。
本人認証サービス(3Dセキュア)を設定して、利用上限を増額します。
※Vプリカギフト交換の際、1万円を2枚に分ければ本人認証ナシでいけたのかも
Vプリカのカードが表示されている画面の下にある「Vプリカのアカウント開設はこちら」をタップ → メールアドレスを入力して事前登録 → メールに届くURLをタップして本登録(生年月日や氏名、電話番号等を登録)。Myページにログインして、Vプリカギフト登録 → SMS認証。
PayPayアプリを開き「支払い方法の管理」から「利用上限額を増額する」をタップ → VプリカのログインIDとログインパスワードを入力すると、本人認証サービス(3Dセキュア)の設定完了!
#JPYC でJPYC(ジャパニーズやわらかチョコレートこと、生チョコ餅)買って食べた。ブロックチェーンを制したも同然 pic.twitter.com/Dp9N6Tus2q
— 中島なかじ (@nakaji_55) November 19, 2021
PayPayで使うのもいいけど、微妙に余ったら100円~1円単位で購入できるAmazonギフト券にチャージするといい。
JPYCに今後、期待すること
JPYC社の代表取締役 岡部典孝さんは、インタビューで「暗号資産と現実世界よりシームレスにしたい ※3」「加盟店でJPYC決済をできるようにして、加盟店手数料がほぼゼロで買い物できる世界を実現したい ※4」と話していました。
また、2021年11月に、米ドルのステーブルコイン「USDC」を発行するCircle社のベンチャーキャピタル部門などから5億円の資金調達を受けています。
※3 【参考動画】日本円ステーブルコインJPYC代表に魅力を聞く|#CONNECTV
※4 【参考リンク】日本の金融市場に風穴をあける日本円ステーブルコイン「JPYC」。立ち上げの背景から展望まで、CEOに聞きました【後編】|in LIVE
キャッシュレスの次は、ユーザーにも店舗にもやさしい仮想通貨払いが広がるかも! 超期待してます。早くIPOしてほしい(そして公募価格で株買いたい!!)!!
2022年春発行予定の「JPYT」との違い、日本円のステーブルコインについてまとめた記事はこちら
【5月23日 追記】JPYCのアップデートに伴うトークン変更&移行ついて
JPYCは、需要増化への対応やセキュリティ強化のため、5月21日から各ネットワーク上のJPYCをアップデートし既存の「JPYCv1」から「JPYCv2」に移行します。
Polygon、Shiden Network、Gnosis上にあるJPYC
※Avalanche、Astar Networkは、すでにv2に対応したトークンで発行
現在保有しているPolygon、Shiden Network、Gnosisの「JPYCv1」は、JPYCの公式サイトに設置された専用ページで「JPYCv2」と交換できるそうです。
※5月21日以前にJPYCを購入していて、22日以降にJPYC Appsを使う場合「JPYCv2」への交換が必要
※交換時は、JPYCv1の数量に対して1%上乗せしたJPYCv2が送付されるそう
また、アップデートによりトークンのコントラクトアドレスが変わります。
Polygon、Shiden Network、Gnosisは、共通で「0x431D5dfF03120AFA4bDf332c61A6e1766eF37BDB」になる。
Can You Survive?