日本円のステーブルコイン比較|JPYCとJPYTの違い

日本円のステーブルコイン比較|JPYCとJPYTの違い
【5月17日】JPYTの発行延期発表について追記しました

前払式支払手段という形式の「仮想通貨ではない」日本円ステーブルコイン【JPYC】と、2022年春発行予定の発行が延期された【JPYT】の共通点や違い(ブロックチェーン)などを解説

2020年12月12日、株式会社woorthが日本円ステーブルコイン「JPYT」の発行に向けたプレスリリースを発表しました。

中島なかじ
当記事では、2021年1月から発行されている日本円ステーブルコイン「JPYC」と「JPYT」の共通点や違い、ステーブルコインがなぜ利用されるか、どんな規制があるか、などを紹介します。

 

【追記】記事公開後すぐにJPYT発行体の代表、中野泰輔さんから反応をいただきました(お墨付きってことにしたい)

 

JPYCについては、この記事で解説してます

JPYC(JPYコイン)とは?使ってわかったメリット
この記事の著者、中島なかじのプロフィール



JPYCとJPYTの共通点

1.日本円に連動するステーブルコイン

ステーブルコインとは

ステーブルコインとは、価格変動が激しい仮想通貨(暗号資産)の実用性を高めるため、価格が安定するよう、なんらかの資本を担保につくられたものを指します。

法定通貨や仮想通貨に連動するものや、金や銀、原油などの商品に連動するもの、アルゴリズムを利用して価格を安定させる無担保型のものもあります。

有名なステーブルコインの例:米ドルの価格と連動する「テザー【USDT】」や「USDコイン【USDC】」など
中島なかじ
ステーブルコインは、価格が安定している分(ビットコインやイーサなどより)「法定通貨の代替品として、送金や決済、資金の保管などに利用しやすい」と期待されています。

※ただし、安定性や安全性は発行体(運営会社など)にかかっている

2.1JPYT=1円で、公式サービスから購入できる

JPYCの場合:JPYC Apps(JPYC販売所)

JPYTの場合:JPYTショップ
※まだ公開されていない

中島なかじ
JPYCは、日本円かビットコインか、イーサで1万円から購入可能。

日本円で1万円分買ったことがありますが、入金してから5分も立たずに入金されました。

JPYCの購入には本人確認(KYC)がいらないので、すぐに仮想通貨が必要な場合も(JPYCとほかの仮想通貨を交換できるので)便利です。

また、JPYCはイーサリアム上の各種DeFi(分散型金融)で、利用できます。

DEX(分散型取引所)で、ほかの仮想通貨と交換(スワップ)して入手することも可能です。

3.前払式支払手段のデジタルコイン(仮想通貨ではない)

JPYTも、JPYCも、プリペイドカードやAmazonギフト券などと同じ「前払式支払手段」といって、資金決済法上の通貨建資産にあたるので、法的には仮想通貨(暗号資産)にはあたりません。

日本円をJPYCやJPYTに交換して買い物や支払いに使うことはできますが、JPYCやJPYTを直接日本円に交換することはできません。

中島なかじ
日本円 → ステーブルコインにして、ステーブルコイン → 日本円に戻せたら、預金みたいに(発行体が銀行みたいに)なって資金決済法の制約をうけるので、JPYCは、払い戻し不可(換金できない)のプリペイド型にしているそう。

また、ギフト券が金券ショップで通常の販売価格より安く買えるみたいに、JPYCもDeFiで「1JPYC=1円」より安く買えるケースもあるとか(二次流通市場での利用は自己責任)。※1

4.「第三者型」前払式支払手段を目指している

JPYTのプレスリリースには「第三者型前払式支払手段としての登録を第一目標とする」と書かれています。

JPYCと同じく、JPYTも「自家型」の前払式支払い手段としてスタートするそうです。

自家型:発行者のお店 ※2 からの商品やサービス購入にしか使えない

第三者型:発行者のお店 + 加盟店契約を結んだお店でも使える

※2:JPYCのお店(=サイト)では、Visaカードが使えるショッピングサイトやPayPay、楽天Payなどのコード決済で利用できるVisaのプリペイドカード「Vプリカギフト」などを売っている(交換可能)

中島なかじ
JPYCを発行するJPYC社の代表、岡部典孝さんは、Webメディアのインタビューで「第三者型前払式支払手段の登録を目指している。加盟店の手数料がほぼゼロで買い物ができる世界を実現したい」と語っています。

また、JPYTのプレスリリースの中で、woorth社代表の中野泰輔さんは

・NFTが社会に浸透しつつある中で、売買や送付には仮想通貨が必要

・日本の取引所で、日本円で購入できない仮想通貨がある

=せっかくよいサービスがあっても、ハードルが高くて利用できない人がいる

といった問題点を挙げ「JPYTを発行することで、法定通貨とブロックチェーンの架け橋になるような、よりシームレスな社会を目指す」と語っています。

どちらも、目指す方向性や世界のあり方は同じようです。

中島なかじ
JPYCの利用者は増えているのに(2021年11月に発行数が3億JPYC突破)、なぜ同じようなしくみの新しいコインを発行しようと思ったんだろう?(素人考え)

いちユーザーとしては、切磋琢磨して、より使いやすく、お店にもやさしい、お得なサービスになってくれればいいけど……。

JPYTが発表されたときの、JPYCの中の人反応

公式の見解というわけではありませんが、JPYTのリリースが出た当日と翌日に、JPYC社の方がツイートをされていたので引用します。

JPYC岡部さんのツイート

JPYCで働く(しかも新宿区議会議員でもある)伊藤陽平さんのツイート

中島なかじ
私が先達の発行体だったら「ライバル出現だ!」「マネされた?」と焦ると思うのですが、 自社サービスへの信頼と自信、日本のクリプト業界を盛り上げていきたいという思いが感じられるツイートでした。

現在判明している、JPYCとJPYTの違いはこちらです↓↓

※現在(2021年12月14日時点)、まだJPYTのホワイトペーパーが公開されておらず、プレスリリースやHPに載っている以外の詳細は不明



JPYCとJPYTの違い|ブロックチェーンが違う

 JPYCJPYT
発行2021年1月2022年春(予定)
発行体
(運営会社)
JPYC株式会社株式会社woorth
ブロックチェーン
規格
イーサリアム
ERC20


※Polygon、xDai、Shidenに対応
バイナンススマートチェーン
BEP20

入手方法・公式サービス(JPYC販売所)

・イーサリアム上の各種DeFi
公式サービス(JPYTショップ)を予定
しくみ前払式支払手段の日本円ステーブルコイン
(仮想通貨ではない)
※2021年12月14時点

各コインに使われているブロックチェーン

JPYC:イーサリアムの規格「ERC-20」を使用
※Ethereum Mainnet、Polygon(Matic Network)、xDai、Shiden Network(紫電ネットワーク)のマルチチェーンに対応

JPYT:バイナンススマートチェーンの規格「BEP20」を使用
※当初バイナンススマートチェーンに対応し、サービス拡大に伴ってほかのチェーンにも対応する予定

JPYCが利用する、ERC-20とは?

ERC-20とは、イーサリアムブロックチェーンでの代替可能なトークンの発行・実装に使われる規格(技術標準)です。

※トークンとは:なんらかの価値を持った(価値を表す)数値情報のこと。通貨だけでなく、株式や権利、ゲーム内のレアアイテムを得る権利などを表現するものもある

異なる仮想通貨でも、ERC-20に準拠していれば、メタマスクなどの1つのウォレットで管理することができます。

※代替不可能なNFTには「ERC-721」という規格が使われる

規格名ERC20ERC721
種類仮想通貨
(ステーブルコイン含む)
NFT
用途通貨やポイントなど・デジタルアート
・ゲーム内アイテム
・楽曲
・トレーディングカード
など
代替可能不可能
同じトークン存在する存在しない
分割できるできない
中島なかじ
私がJPYCを購入した際は、イーサリアムメインネットを利用したので高めのガス代(手数料)がかかってしまったのですが、ほかのチェーンで入金してもらえば、ガス代を抑えることが可能です。

JPYC Apps(JPYC販売所)では、多くの利用者がPolygonメインネットで購入しているそうです。

JPYTが利用する、BEP20とは?

BEP20は、BNBチェーン(旧:バイナンススマートチェーン【BSC】)での代替可能なトークンの発行・実装に使われる規格(技術標準)です。

BNBチェーン(旧:バイナンススマートチェーン【BSC】)は、世界最大の仮想通貨取引所、バイナンス(BINANCE)が提供するブロックチェーンです。

高速取引が可能で、イーサリアムに比べガス代が各段に安く、PancakeswapなどのDEXでも利用されています。

また、イーサリアムと互換性があり、イーサリアム上で開発されたアプリケーションを移植したり、(イーサリアムを管理するウォレットの)メタマスクに接続することが可能です。

中島なかじ
今のところわかっている違いは、チェーンだけ。

JPYTは今後、下記のサービスをリリース予定だそうです。

・決済手数料無料の自己管理型決済サービス「JPYT Pay」の開始

・加盟店でJPYT決済が可能な「JPYTカード」の発行

・ガス代不要で送金や決済ができるサービス

・独自ブロックチェーンやウォレットの開発
→ 公式サイトによると、ウォレットの名前は「asap

【5月17日 追記】株式会社woorthの代表 中野泰輔さんのTwitterで「JPYT発行延期」が伝えられました

連続するツイートで、延期の原因(⾦融審議会の「資⾦決済WG報告書」を受けてベンチャーキャピタルからの投資を受けられなくなったこと)などが語られています。

中島なかじ
株式会社woorthは、web3セキュリティツール「eagis(イージス)」を発表しました。

Google Chromeの拡張機能で、危険なサイトや偽物のNFTを検知しポップアップを表示してくれるそうです(最初はOpenSeaに対応)。月額費用やアカウント登録不要だそうなので、リリースされたら使ってみたい!

【関連サイト】eagisとは(公式ドキュメント)

一方、JPYCもさまざまな独自サービスを展開しています。

・Vプリカギフトへの交換機能

・JPYC Apps(JPYC販売所)を通して、楽天市場やYahoo! ショッピングの商品購入
・百貨店「松屋銀座」の対象売場で買い物ができる
→ 代理購入サービス

・分散型ブログ(HiÐΞ)の投げ銭、クラウドファウンディングでのJPYC活用

・JPYC決済できる、ふるさと納税(徳島県海陽町)

中島なかじ
第三者型の登録が許可されて、いろんな加盟店で使えるようになれば、グッドショップ(よいお店)がクレカみたいな高い加盟店手数料を払わなくて済むようになる!

JPYCにもJPYTにも頑張ってほしい! 期待しています。

日本円ステーブルコインの規制

JPYCのような前払式支払手段のステーブルコインは、すでに利用が進んでいますが「法定通貨と相互に交換できる(USDC、USDTのような)ステーブルコインには、より強い規制が必要なのでは」と議論が進められています。

金融庁は(前払式支払手段ではない、仮想通貨の)ステーブルコインの発行体を、銀行と資金移動業者に限定することで、利用者のリスクを下げ安全性を高めようとしています。

中島なかじ
前払式支払手段のステーブルコインでも、金融庁からは「一定の金額以上発行する場合は、本人確認(KYC)を必須にしたほうがいいのでは?」といった意見が出ているそうです。

利用者保護は大事だけど、ガッチガチにルールを固めたり、ゆっくり議論してたら、日本のブロックチェーン技術の進歩がどんどん遅れちゃう気がする。柔軟に対応してほしい……。

ほかにもあるぞ! 日本円ステーブルコイン

三菱UFJ信託銀行「Progma Coin」

三菱UFJ信託銀行のプログマコインのしくみ

画像出典:https://www.tr.mufg.jp/ippan/release/pdf_mutb/220209_1.pdf

三菱UFJ信託銀行から、日本円のステーブルコイン「プログマコイン(Progmat Coin)」が発行されます。

プログマコインは、ブロックチェーンと受益証券発行信託のスキームを組み合わせた暗号資産(仮想通貨)です。

法定通貨を裏付資産とした「受益証券発行信託」を組成し、1円単位の受益権をステーブルコイン化することで、ユーザーは倒産リスクから隔離され、常に全額償還請求が可能なのだそうです。

1coin=1円で価値が固定され、決済に利用できます。

また、クロスチェーン技術を用いることで

・中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)
・ほかのステーブルコイン
・暗号資産(仮想通貨)
・NFT
・セキュリティトークン(Progmat)
・ほかのセキュリティートークン

などと繋がり、シームレスに交換できるようになるそうです。

【参考資料】Progmat Coin コンセプトペーパー|三菱UFJ信託銀行株式会社(pdf)

GMOグループ「GYEN」

2021年5月、GMOインターネット株式会社の連結会社で米国の現地法人であるGMO-Z.com Trust Company, Inc.から、日本円のステーブルコイン「GYEN」が発行されています。

GYENは米国銀行法規制を遵守しており、仮想通貨取引所コインベース(Coinbase)で取引することが可能ですが、日本国外で流通するもので、国内在住者は購入することができません。

プラチナエッグ「JPYA」

2021年5月、株式会社プラチナエッグから、前払式支払い手段の日本円ステーブルコイン「JPYA(JPY Ascension coin)」が発行されています。

JPYAは、日本円、ビットコイン、イーサ、IOST(アイオーエスティー)、Algorand【ALGO】で購入可能。ガス代が実質かからないIOSTの「IRC20」の規格でつくられています。

株式会社JPXY「JPYX」

2022年春、株式会社JPXYからも、前払式支払い手段の日本円ステーブルコイン「JPYX」が発行されるそうです。

ERC-20規格で、Ethereum、BNB Chain、Polygon Chain、Solana、Celo、Avalancheに順次対応予定。

今後は、払い戻しが可能な日本円ステーブルコインが銀行や資金移動業者から発行されたり、特定の地域で使えるの日本円ステーブルコインなどが登場するかもしれません。

中島なかじ
注目のコインが発行されたら、また記事にしますね。

円ではなく「金(ゴールド)」に連動するプログマコイン(ステーブルコイン)を購入してみました↓↓

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ABOUTこの記事を書いた人

親の破産、多額の奨学金(740万円)、25万円貸したままフラれる……など【お金で悩む人生】から抜け出すため、お金の使い方や増やし方を勉強している。2級FP技能士。

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