どの投資信託を買えば良いの?という疑問に対してオススメ商品で答えるのは簡単ですが、今回は自分で投資信託を選び出すための基礎知識をまとめてみます。頭の中に「良い投資信託とは何か」という柱をしっかり立てて、 自分の納得のいく投資信託を探してみましょう。
※この記事はアフィリエイト広告を含みます
おいらも自分で投資信託選んでみたいけどさ、どこをどう比べたら良いのかよくわかんないんだよね。
投資信託って日本国内だけでも6000本以上あるって言うし。
「思い切ってiDeCoやつみたてNISAの口座を作ったは良いものの、どの商品を選んだら良いの?」
友達や知人、読者の方などから、このような質問をいただく機会が頻繁にあります。
【ヤマコンの関連リンク】
Twitter / note
著書「くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話」
目次
投資信託の選び方
投資信託は1万円程度の予算からでも始められる上、お手軽に分散投資できるという、とても使い勝手の良い金融商品です。
また、NISAやiDeCoといった非課税制度を活用できるチャンスにも恵まれており、とにかくコストを小さく抑えることができます。
個人の資産運用においては、真っ先におすすめできる合理的な商品です。
ただし、全ての投資信託がおすすめできるわけではありません。
そんな中で投資信託をいきなり選べと言われても、投資と無縁の生活を送っている方にはわからないことばかり。
この記事では、投資信託を選ぶ上で知っておくと便利な基礎知識と、比べる際に重要なポイントを解説します。
・最低条件をクリアしているか
投資信託として、安心できるレベルのスペックがあるか
・投資対象
どこの国の、どんな商品に投資されるか
・信託報酬
ランニングコストがどれくらいかかるか
まずは非課税枠での長期投資が基本
投資で出た利益には税金が発生します。
通常、投資で100万円儲かったとしても、20万円以上が税金に消えます。
税金はバカにならないほど大きなコストなので、投資信託を持つときは可能な限り非課税枠を利用して運用しましょう。
いま日本で使える非課税制度には商品や運用期間などの制限がありますが、投資信託はiDeCoとつみたてNISAという2つの非課税制度を利用できるので、このどちらかから始めていって、枠が足りなくなったら両方とも利用するのが良いでしょう。
iDeCoやつみたてNISAについて詳しくは、過去の記事をご覧ください。
>> つみたてNISAとNISAとiDeCoを比較した男|つみたてNISAを徹底評価
iDeCoとつみたてNISA、どちらの枠も使い切っている場合や、欲しい投資信託が制度対象外の場合は、通常の口座で購入します。
iDeCoなら5〜35年ほど、つみたてNISAなら20年ほどの長期間に渡って積み立てながら運用していくことになります。
これらの制度をフル活用するなら、放ったらかしの長期運用が基本。
投資信託を選ぶ際は、長期投資に適した商品を選びましょう。
そこでまずは、長期投資に耐えられる可能性の高い、最低限の条件をクリアした商品に厳選していきます。
投資信託を選ぶ上での最低条件
1. 償還日が無期限である
2. 50億円以上の純資産総額を持っている
3. 2年以上の運用実績がある
4. 毎月分配型ではない
1. 投資信託の償還日は、無期限が良い
償還日というのは、定期預金で言うところの”満期”のようなもの。
投資信託にはそれぞれ償還日が設定されており、iDeCoやつみたてNISAで選べる商品はどれも無期限か20年以上の期限が設定されていますが、一般的に売られている投資信託の場合、数年で償還(=満期)となる商品もあります。
この場合、運用成績が良くても悪くても償還日がきたら強制的に売却されます(定時償還)。
償還日の短い投資信託はコストが高くなり、余計な手間も増えるので、基本的に償還日は無期限の商品を選ぶのがおすすめ。
減らせるロスは、減らしていきましょう。
いつの間にか払い戻されてたら、おいら気付かないかも……
2. 純資産総額は50億円はないと心配
投資信託が運用している金額の総額を、純資産総額(じゅんしさんそうがく)と言います。
純資産総額は、その商品が売れたときや運用がうまくいったときに増えていきますが、反対に、運用成績が悪いときや解約数が多いときには減っていきます。
それ自体は特に問題ありませんが、問題は繰上償還(くりあげしょうかん)のリスクです。
投資信託は、運用会社の判断で運用を終了することができます。
つまり、「これ以上運用できない」と判断された商品は、途中で強制的に解約(繰上償還)されてしまう可能性があります。
純資産総額が多い人気商品が繰上償還される可能性はほぼありませんが、純資産総額の少ない商品や全く売れてない商品ほど繰上償還が起こりやすくなります。
特に、純資産総額30億円に満たない投資信託は繰上償還リスクが高いと言われています。
経済の状態や商品の実績にもよりますが、個人的な判断基準としては純資産総額が50億円以上の商品ならば長期運用するイメージが湧きやすくなり、100億円以上の商品なら安心感を持って選ぶことができます。
3. 運用実績のある商品を選ぶ
作られたばかりで運用実績のない投資信託の場合、以下のようなリスクが考えられます。
・想定外のコストがかかる
・純資産総額が安定せず、繰上償還の可能性がある
・目指す指標と思うように連動しない可能性がある(トラッキングエラー)
日本の投資信託の信託報酬は年々下がってきている傾向にあり、内容的にも新しい時代のニーズに応えて作られた商品が多いため、新設の投資信託は魅力的なものばかりに見えます。
しかし、内容が不明瞭な商品も多く、コストに関しては実際に運用してみるまでわからない部分もあります。
また、純資産総額が少ない場合や出入りが激しい場合は目標通りの運用が難しくなり、指標とのズレ(トラッキングエラー)が発生しやすくなります。
インデックスファンドはトラッキングエラーをできるだけ小さく抑えたいものなので、このような状況はあまり好ましくありません。
投資信託は、最低でも過去2年のデータは見てみないと何とも言えません。
私は新しすぎる投資信託は選択候補から除外する方向で考えています。
しっかりとした実績のある商品が、ほぼ同じ内容のまま少しだけ変えてiDeCoに対応したバージョンを作った場合などは例外です。
4. 毎月分配型の商品は非効率的
投資信託で出る利益には、分配金と売買差益という2つの種類があります。
投資信託を持っている間、その商品の運用で発生した収益などを元に投資家へ配られるお金。商品によって、毎月出るものや年に1度だけまとめて出されるものなどがある。
売買差益
投資信託はファンドマネージャーらの運用次第で商品1口あたりの価値がアップダウンするため、安いときに買って高いときに売れば差益が出る。逆に、価額差で損が出る可能性もある。
投資信託には様々なバリエーションがあり、「定期的にお小遣い感覚で収益を受け取りたい」という投資家のニーズに応えた毎月分配型ファンドというものもあります。
毎月分配型ファンドは徐々に減ってきてはいますが、大手証券会社ではいまだに投資信託売上ランキングの上位にランクインしていたりします。
国内株式系投資信託の約半数がこの毎月分配型と言われており、よく売れている商品もたくさんありますが、毎月分配型ファンドはどれも例外なく長期投資に向かないので要注意。
毎月分配型ファンドは、運用成果が良くても悪くても分配金を出し続けます。
運用の成果が分配金に満たない場合は、元本を取り崩す形でひねり出します。
その分、元本が取り崩されるので、解約時の売買差損が出やすくなります。
また、分配されて受け取ったお金は現金に戻ってしまうので、複利の効果が得られません。
このような理由から、iDeCoやつみたてNISAでは毎月分配型ファンドは長期投資に不適当として対象外となっています。
かと言って短期や中期に向いている訳でもないので、私は毎月分配型ファンドを買う理由は特にないと考えています。
多くの場合は、ほぼ同じ内容のまま分配金を自動で再投資してくれる商品があるはずなので、効率的にお金を増やしたいなら断然そちらをおすすめします。
一旦まとめ:投資信託を選ぶための基準
筆者の個人的な判断基準ではありますが、以下4つの条件をクリアしていない商品は除外した上で投資信託を選択しています。
1. 償還日が無期限である
2. 50億円以上の純資産総額を持っている
3. 2年以上の運用実績がある
4. 毎月分配型ではない
投資信託の比べ方
最低限の条件をクリアした上で、どこを比較していったら良いか考えてみよう。
ここからは、投資信託の比較ポイントを考えていきます。
私が最も重視しているポイントは、以下の2つ。
1. 投資対象
どこの国の、どんな商品で運用しているか
2. 信託報酬
ランニングコストがどれくらいかかるか
簡単に説明するね。
1. 投資信託の投資対象を比べる
投資信託は、運用の専門家が個人投資家たちから集めたお金をひとまとめにして代理で運用していく金融商品。投信と略したり、英語のFUNDを元にファンドと呼ぶこともあります。
どのように運用していくかは選んだ銘柄によって様々ですが、ほとんどの投資信託は複数の株式や債券を組み合わせて運用しています。
株式の価格は1株あたり数百〜数千円程度ですが、通常は100株単位の取引となるため、1口あたり数万〜数十万円ほど必要となります。
自力で複数の株式へ分散投資するには100万円くらいはないと厳しいし、より多様な株式に分散したポートフォリオを作ろうと思ったら、億単位のお金が必要となることも考えられます。
しかし投資信託を利用すれば、1万円ほどの予算でも世界中の株式や債権へ分散投資することができます。
そのお金を専門家がまとめて運用してくれるってことだね!
投資信託の種類
投資信託の運用内容は、商品によって様々。
リスクや手数料もピンキリですが、まずは投資信託全体を大きく2つ分けて解説します。
(1) インデックスファンド
インデックスファンドは商品ごとに設定された指標に沿った値動きを目指して運用されます。
運用の指標に設定されるのは特定の市場や商品の各種指数。
投資信託では、商品ごとに設定された指標のことをベンチマークと呼びます。
・日経225:日本を代表する225社の株価の平均値。
・TOPIX:東証の第一部に上場している企業を対象に算出する指数。
・S&P500:アメリカの代表的な500社を対象とする指標。
・ACWI:全世界、約70か国の市場を対象に算出する指標。
複数の株式を組み合わせ、上に挙げたようなベンチマークとなるべくズレないよう、連動した値動きを目指して運用していくのが、インデックスファンドです。
シンプルな商品設計で内容がわかりやすく、信託報酬(手数料)が安いのが特徴。
超低コストで海外に分散投資できる、優秀なインデックスファンド。
日本を除く先進国の株式市場の値動きに連動する投資成果をめざします。
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス | |
---|---|
分類 | インデックス型 海外株式 |
連動指数 | MSCIコクサイ・インデックス |
投資対象地域 | 日本を除いた22の先進国および地域 |
運用会社 | 三菱UFJ国際投信株式会社 |
純資産額 | 約1458億円 (2020年12月時点) |
信託報酬など | 年率0.1023%以内(税込) |
買付手数料 | ノーロード(無料) |
iDeCo取扱金融機関 | SBI証券(セレクトプラン) マネックス証券 松井証券 |
(2) アクティブファンド
インデックスファンド以外は全てアクティブファンドとなるので、投資信託全体の9割程度はアクティブファンドに分類されます。
基本的に、ファンド・マネージャーと呼ばれる投資のプロが独自の判断で銘柄や割合を決めて運用します。
運用の自由度が高く、人や環境や社会に優しい「いい会社」に投資していく鎌倉投信の『結い2101』や、独自の調査で厳選した20銘柄ほどに集中投資する『スパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資)』など、個性豊かな投資信託が揃っています。
アクティブファンドでもベンチマークを設定しているケースはありますが、インデックスファンドがベンチマークと全く同じ成果を目指すのに対して、アクティブファンドはベンチマークを超える運用成績を目指すため、投資対象や成果に個性が出ます。
実際にベンチマークを上回る収益を得られたり、損失を抑えられるケースもありますが、成果がベンチマークを下回るケースも少なくありません。
かなり質の低いアクティブファンドもたくさんありますが、誠実で成果も出し続けている良いアクティブファンドもあります。
インデックスファンドに比べるとコスト面で高くつきますが、きちんと運営されているアクティブファンドの場合は投資対象の調査のために企業を訪問していたり、投資家の信頼を得られるような報告資料や説明機会をきちんと設けていたり、手間暇かけて丁寧に運営されています。
また、インデックスファンドよりも中身の銘柄を入れ替える頻度が高く、そのたびに発生する株式売買手数料もコストを押し上げる原因になっています。
意味もなくコストが高いとも限りません。
運用チームの顔や名前が公表されている、珍しいアクティブファンド。成長企業を丁寧に目利きして運用する大人気商品。
国内外の上場株式を主要な投資対象とし、市場価値が割安と考えられる銘柄を選別して長期的に投資します。
ひふみプラス | |
---|---|
分類 | アクティブ型 国内外株式 |
ベンチマーク | なし |
投資対象地域 | 主に日本 |
運用会社 | レオス・キャピタルワークス株式会社 |
純資産額 | 約4500億円 (2020年12月時点) |
信託報酬など | 年率1.0780%(税込) |
買付手数料 | ノーロード(無料) |
iDeCo取扱金融機関 (iDeCo向けの同シリーズ、ひふみ年金) | SBI証券(セレクトプラン) マネックス証券 松井証券 ほか多数 |
インデックスファンドとアクティブファンド、どっち?
インデックスファンドは基本的に信託報酬(実質的な手数料)が低く、ランニングコストが大幅に安く済むという明確なメリットを持っています。
先ほど例に挙げた『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』(インデックス)と『ひふみプラス』(アクティブ)では、信託報酬に約10倍の差があります。
信託報酬は年率でかかってくるので、もし100万円ずつ持っていた場合では単純計算で年9000円ほどコストに差が出ます。
機械的に運用するインデックスファンドと違って、ひふみ投信シリーズはファンドマネージャーを中心とした10数名の運用部メンバーが選んだ、今後成長を期待できる企業に対して投資していきます。
実際、レオス・キャピタルワークス株式会社の運営する投資信託はかなりの好成績を叩き出しています。
『ひふみプラス』の設定日前日(2012年5月25日)の基準価額を1とすると、2020年11月30日時点の基準価額は約4.85倍(信託報酬控除後)。
同じ日時条件でTOPIXのインデックスファンドを運用した場合は約2.92倍(配当込み)となるので、『ひふみプラス』のほうが圧倒的に成果をあげていると言えるでしょう。
私自身は基本的に低コストのインデックスファンドを中心とした資産運用を続けていますが、『ひふみプラス』のように丁寧な調査と運用で十分な成果をあげているアクティブファンドがあるのも事実です。
インデックスとアクティブ、どちらが良いとは一概に言えません。
投資対象の選び方
人によって色々な理由がある!
・信頼できるファンドマネージャーに自分のお金を運用してもらいたい
・iDeCoやつみたてNISAの非課税枠をできるだけ活かしたい
・老後資金として貯めているお金をただ眠らせておくのが勿体無い気がする
・日本円のインフレリスクが怖い
やまちゃんは?
この記事を書いている筆者ヤマコンは、主に以下2つの目的を持って金融商品を利用しています。
(1) 自分の資産が国内に集中している状態が不安なので、海外に分散したい
(2) 好きでもない銀行にお金を預けておくよりは、好きな会社の株式で資産を持っておきたい
私のケースでは「海外の商品を投資対象とするインデックスファンド」か、「信頼できるファンドマネージャーが運用するアクティブファンド」を買うのが良いでしょう。
ただし私の場合、(2)の部分は個別株式を自分で選んで購入しているため、投資信託選びについては(1)の目的をできるだけ良い条件でクリアできるものを重視しています。
私の考える良い条件というのは、主にコストの安さです。
2. 投資信託のコストを比べる
投資信託を運用するには、以下のようなコストがかかります。
・信託報酬と管理費用
投資信託を管理・運用してもらうための経費。
およそ年0.1〜2.0%程度、商品ごとに設定された割合で発生する。
投資信託を持っている間は自動的に差し引かれ続ける。
・信託財産留保額
投資信託を解約する際に支払う費用。
解約時に「基準価額に対して何%」といった形で自動的に差し引かれる。無料の投資信託もある。
・販売手数料
投資信託を購入する際に販売会社に支払う手数料。
最近は無料(ノーロード)の商品も多い。
株式投資や銀行預金などの多くの金融商品は、売買や振込や引き落としのように資産を動かすタイミングで手数料が発生しますが、投資信託は持っている間に手数料が徴収され続けるという特徴があります。
同じベンチマークを掲げ、全く同じ運用内容を目指しているインデックスファンド同士でも、コストは商品次第で変わります。
商品名 | eMAXIS Slim 国内株式(日経平均) | 野村インデックスファンド・日経225 |
---|---|---|
ベンチマーク | 日経平均株価(日経225)(配当込) | 日経平均株価(日経225) |
買付手数料 | なし | 1.1%以内 |
信託財産留保額 | なし | なし |
信託報酬など | 年率0.154%以内 | 年率0.440%以内 |
委託会社 | 三菱UFJ国際投信株式会社 | 野村アセットマネジメント |
純資産額 | 約63億円 | 約360億円 |
2020年12月時点でのデータです。表記は全て税込。 |
この比較では、『eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)』の買付手数料0円に対し、『野村インデックスファンド・日経225』は1.1%以内とあります。さらに信託報酬にも3倍近い差が。
仮に100万円ずつ購入した場合、購入した時点で野村は最大1万1000円の買付手数料が引かれます。
(100万円×1.1%)
さらに1年後、価額に全く変化がなかったと仮定すると、単純計算で最大4351円ほどの信託報酬が発生します。
(98万9000円×0.440%)
『eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)』の場合、同じ条件で計算しても、かかる手数料は最大1540円程度の信託報酬のみ。
(100万円×0.154%)
全く同じ運用成績だった場合、野村98万4649円に対し、eMaxis Slimは99万8460円残るので、両者の間には1万3811円ほどの差が開きます。
実際は価額には変動がありますし、どちらの投資信託にも必ずある程度のズレが発生するので、単純計算できる事ばかりではありませんが、基本的にベンチマークがかなり近いインデックスファンドや、内容がかなり似通ったアクティブファンドの場合は手数料の安いものを選びましょう。
特にインデックスファンドは内容の似通った商品が多く、ベンチマークだけを見て選択されがちですが、iDeCoやつみたてNISAは5〜30年ほどの長期保有が前提です。
信託報酬がコンマ数パーセント違うだけでも、数十万円、数百万円の差が出ることも十分に考えられます。
大震災やパンデミックのように、世界では予測できない事ばかりが起きていて、経済の世界も大きく揺れています。
未来を予測することが難しい以上、金融商品の値動きを予測するのはプロでも難しいもの。
1年後にどの商品が一番儲かるのか、というのは誰にもわかりません。
しかし、手数料に関しては購入前から表記されている部分が多く、私たち個人投資家からすれば確定している損失だと言えます。
投資判断において何が正しくて何が間違っているのかは終わってみるまでわからないことばかりですが、手数料ばかりは事前に得られる情報で十分に判断できるので、可能な限り避けていくのが正しいと考えています。
高いの買う人いるの?
金融機関によって扱う商品が違う
基本的に投資信託は証券会社や銀行といった金融機関を介して売買します。
冒頭で「投資信託は日本国内だけでも6000本以上ある」と述べましたが、投資信託の品揃えは金融機関によって変わります。
例えば、野村証券は1000本前後の投資信託から好きなものを選べます。これでもかなり多いほうですが、ネット証券の老舗 SBI証券なら2500本以上の選択肢があります。
ちなみに、三井住友銀行の品揃えは200本前後で、地方銀行ならさらに少なく、私の家の最寄りの琉球銀行なら80本程度。
投信会社が商品を直接販売しているケースでは、自社で運営している数本のみ、ということもあります。その代わり、そこでしか買えないオリジナル商品が売られていたりします。
このように、どこで口座を作るかによって私たちの選択肢は大きく変わります。
また、iDeCoの場合はひとつの金融機関あたり35商品までと決まっているため、金融機関ごとの個性が出やすい状況になっています。
普段から使っている銀行や証券会社の口座で取引すれば、新たに口座を作る手間が減って楽かもしれません。
しかし、コストの安いインデックスファンドをあえて取り扱わないことで、自社の直販商品を売りやすい状況を作って手数料の回収効率を上げているような銀行や証券会社がたくさんあります。
金融機関がどんな投資信託を扱っているかは、ホームページやパンフレットを見れば事前に調べられます。
投資信託の品揃えは運用の成果に直結するため、金融機関ベースで商品を選ぶのではなく、商品ベースで金融機関を選びましょう。
おすすめ投資信託1:SBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま(全世界株式))
SBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま(全世界株式)) | |
---|---|
運用方法 | 日本を含む全世界株式 |
連動指数 | FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス |
運用会社 | SBIアセットマネジメント |
信託報酬など | 0.1102%(税込) |
iDeCo取扱金融機関 | SBI証券(セレクトプラン) |
『SBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま(全世界株式))』は、分散性とコスト面において、かなり優秀な投資信託だと言えるでしょう。
この投資信託を買うだけで、世界中約47か国の8000銘柄以上の株式に分散投資できます。
海外への分散投資は、利益を狙うだけでなく、日本にもしものことがあったときのためのリスク分散として、非常に合理的な選択だと考えています。
その点において『雪だるま(全世界株式)』はかなり高水準な商品です。
信託報酬は0.068%ほどで、その他の実質的な負担額を加えても年0.1102%程度と、日本で売られている全ての投資信託の中でもトップクラスに低コスト。
長期投資のセオリーである「リスク分散」と「ローコスト」の2点をしっかり抑えた強力な商品です。
設定日は2017年12月6日。インデックスファンドとしては比較的新しい商品で、できたての頃はベンチマークとの乖離に多少の不安がありましたが、最近の運用報告書をみる限りは、ある程度信頼できる成果が出ているように思えます。
また、純資産も急速に増え続け、2020年12月時点で総額128億円まで到達しています。
iDeCoで取り扱いがあるのは、現時点でSBI証券のセレクトプランのみ。
SBI証券はネット証券の老舗で、品揃えの多さも手数料の安さも業界トップクラスなので、通常の証券口座もおすすめです。
>> SBI証券の証券口座の公式ページはこちら
おすすめ投資信託2:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
eMAXIS Slim米国株式(S&P500) | |
---|---|
運用方法 | 米国株式 |
連動指数 | S&P500 |
運用会社 | 三菱UFJ国際投信株式会社 |
信託報酬 | 0.09680%以内 |
iDeCo取扱金融機関 | ・SBI証券(セレクトプラン) ・マネックス証券 |
『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』は、アメリカの代表的な指標S&P500に連動するインデックスファンド。
S&P500というベンチマークは、アメリカを代表する500銘柄の株価を元に算出される指標です。
この500社だけで、米国株式の時価総額の約80%をカバーできます。
つまり、S&P500に連動するインデックスファンドを買えば、アメリカの株式市場全体にざっくり分散投資するのと同じような効果が期待できます。
アジアやヨーロッパに投資しない分、分散効果の面では『雪だるま(全世界株式)』よりも控えめになりますが、方向性や内容がはっきりしており、シンプルでわかりやすいのがポイント。
長期投資において、リスク分散とコストの削減は非常に重要な要素ですが、とにかくやたらめったらに分散すれば良いというものでもありません。
大量の銘柄に分散すればするほど、まるで将来性のない銘柄が含まれる可能性も上がっていきます。
また、私が投資信託を利用するのは海外資産に分散投資するという目的を果たすためですが、『雪だるま(全世界株式)』には日本株が8%前後含まれており、分散の方向性もあまり好ましくないです。
このあたりは好みの問題が大きいので、リスク分散の幅や方向性をどのようにコントロールしていくかは、それぞれが自分で考えて決めていくのが良いでしょう。
S&P500に連動する投資信託は他にもたくさんありますが、iDeCoで買えるのは『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』が史上初。
eMAXIS Slimシリーズは様々なバリエーションがありますが、どれも業界最低水準の信託報酬で、かなり低コストな商品が揃っています。
2020年12月現在、iDeCoで取り扱いのある金融機関はSBI証券のセレクトプランとマネックス証券の2社のみです。
まとめ
今回の記事では、投資信託を選ぶ基準として基本的な条件を4つ挙げました。
1. 償還日が無期限である
2. 50億円以上の純資産総額を持っている
3. 2年以上の運用実績がある
4. 毎月分配型ではない
これらの条件をクリアできない投資信託は、基本的に選択候補から外して考えています。
次に、自分がどんな資産を作りたいか考えた上で、国内なのか海外なのか、どんなジャンルに投資したいのかに合わせて銘柄を絞っていきます。
最終的に似たような投資信託が並んだときは、コストの条件が最も良い物を選びましょう。
投資信託選びにおいて、信託報酬は確実な損失です。
コストを削減しつつ、丈夫な資産を作りましょう。
最後に
海外に投資する意味については上で述べた通りですが、債権型やバランスファンドを候補から外している理由をざっくり説明します。
基本的に、債権に投資する投資信託は値動きが穏やかで、ローリスクローリターンな物が多いです。
バランスファンドというのは、株式や債権やREIT(不動産投資信託)などを組み合わせて作る投資信託なので、株式型と債権型の間くらいの値動きとなり、こちらもローリスクローリターンな物が多くなります。
このようなローリスクローリターンな商品は、一見安全で初心者向きに見えますが、あまり合理的ではありません。
信託報酬も下がるからね。
ローリスクローリターンでも手数料は一丁前にかかるのか!
投資信託の信託報酬は、保有している量に対してパーセントで発生するため、たくさん持てば持つほど保有コストも大きくなっていきます。
「ローリスクな初心者向け投信」をうたう商品は、日経平均やS&P500を水で薄めたような商品ばかり。
そのような投資信託をたくさん買うよりは、王道のインデックスファンドを少しだけ買って、あとは現金で持っておいたほうが安いコストでローリスクローリターンな資産運用が実現できます。
商品内でバランスを取る必要はありません。
自分の資産全体でバランスがとれているかどうかだけが重要です。
現金(銀行預金)にも一定のリスクはありますが、比較的ローリスクで、何より維持費がかからないという点においてはかなり優秀な金融商品です。
運用コストを下げる意味で便利なので、現金もうまく組み合わせて自分にとって好ましい資産形成をしましょう。
というわけで以上、投資信託の選び方と比べ方|商品選びはどうやって決める? でした。
それではまた、Can You Survive?
※記事で紹介したサービスや商品を購入すると、売上の一部がサバイブに還元されることがあります。
関連記事
>> つみたてNISAとNISAとiDeCoを比較した男|つみたてNISAを徹底評価
今回は、投資信託の基本をおさらいしたいと思います。